ホームページリース
ホームページリースそもそも論。弁護士 加納雄二
まずは消費者法ニュース89号、90号の私の記事を読んでください。リースとは、現金購入代行なのです。
ホームページリースとは
電話等の物品では無く、ホームページ作成ソフト等ソフトウェアーのリースが問題になっている事案がある。
これらは多くの場合、ホームページ作成を約束しているにもかかわらず、顧客管理ソフトなどをリースの対象にしている。もちろん、一応ホームページ作成用ソフトを対象としたり、ホームページビルダーなどをリースの対象にしていることもある。
契約内容につき、他にも例えばSEO対策をすると言って、SEO対策ソフトをリースの対象にしているものがある。
以上例示したが、これ以外にも問題になっているのは様々な契約やソフトがあるが、ここでは、主にホームページの問題を扱う。
契約の内容とリースの対象の齟齬がある。
これらは、顧客はホームページの作成やSEO対策が契約の内容だと言い、販社もそれを認めることが多い。これに対しリース会社は、多くはソフトそのものだという。契約書もそうなっている。
ホームページ作成の意味。
簡単に触れておくと、ホームページ作成や、SEO対策がリースの対象なら、そもそも役務を対象とするリースということになる。それでソフトそのものの契約を締結するとなれば、心裡留保の問題になる(民法93条)。また、役務は本来リースの対象とならないが、これを含めて契約の内容としているのであれば、履行していない部分は支払いの拒絶が可能であろう(参考福岡高判h4,1,21判タ779号p181)
以下、ここではソフト=物についての問題点を指摘する。
問題点その1 高価であること。他の同種のものと比較検討すべし。
例えば、ホームページ作成ソフトなら、一般によく用いられている、ホームページビルダーとかは1万円程度。プロ用といわれるものもDream Weaverとか。せいぜい5万円程度のものである。
面倒でも、そのソフトはどんな機能を有し、その他のソフトとの機能を比較して、価格が不当であることを立証すべし。
問題点その2 ソフト固有の問題 著作権の問題
ソフトのリースの場合、当然ながら、著作権者の使用許諾が必要となり、標準的契約では、使用権設定注文書、設定注文請書が作成される(「プログラム・リース標準契約書の解説」社団法人リース事業協会。この本は是非読むべし)。
許諾はないということは、リース契約の重大な瑕疵になる。
しかし悪質リースの場合には多くはこれがなされていない。ソフトが販社の「オリジナルソフト」であったりすることもあるが、そのような場合でも別人が作ったソフトが基礎になっているはずで、多くはその許諾が必要となる。許諾が無ければユーザーに賃貸することができないので、リース契約自体が成立しない。前号で紹介した最判 H13.3.2は、カラオケのリースの事案であるが、リース業者の引き渡し義務を論じるについて、著作物使用許諾契約の締結または申し込み許諾を確認した上で引き渡すべき義務があるとした。ユーザーから見れば、使用許諾がなければ、使用できないことになる。この点はソフトのリースも同じです。
問題点その3 悪質リースの対象ソフトは多くは販社ないしは制作者とされる業者以外の市販のソフト、フリーソフトのぱくりです。
まず、ソフトそのものの解析をしてみましょう。パソコンでインストールして、以下指摘するようなファイルの中を見れば、ヒントがあります。
ソフト自体に問題がある場合が多いです。
@ 倒産したECMという会社がリースしているソフトは、フリーソフトがベースで、商用には同意、登録必要です。で、これはショッピングカートのプログラムで、商品管理システムE(CDの中にはカートのプログラムが無断で入っている)は、このプログラムを編集して使えるようにしているだけですが、無用のものです。
インストールフォルダ\data\init.cgiのファイルで出てくる以下のページ参照。
http://www.kent-web.com/cart/cart.html
A いろんな会社の「いい番頭」は お手軽通販というソフトが元になっていると思われます。CSVInOut.iniというファイルの中身に記載されている、ソフト名が以下の会社のソフトです。これも許諾などないでしょう
http://www.otegaru2han.com/price.html
http://www.otegaru2han.com/
B おなじく「画像侍」。これはjtrimというフリーソフトを少し改変したものです。
http://www.woodybells.com/jtrim.html
著作権は放棄してないですが、改変自由のようです。これのメニュー(機能)を少し削減しただけのようですので、ほとんどタダと思います。
以上は分析例ですが、なかなか解析できないソフトもも多いです。
リース会社は、対象物件を具体的に把握していない。
@ これは、リースがユーザーに代わって現金購入代行をするということからすれば、明らかにおかしいし、リース会社のホームページに書いてあるリースの説明とも矛盾することは法ニュース90号で述べた。 リース会社は、「リースは金融であり、物件が何であるか関知しない」との主張をしてくこともあるが、リースの基本的理解が間違っている。
この点、リース会社の担当者に、リース会社のホームページは、リースの説明するのに、買うかリースするかと書いてあるが、どうなのか、と聞くと、「リース会社のホームページの内容はは、大手会社に対するセールスに使うもので、小口リースの資料ではない」との驚くべき回答があったことがある。
リース会社のホームページで大口小口を区別していないし、大手会社は会計上対象をリースリース扱いにすること自体が制限されることになっているのだけど(宮内「リースの知識」p95以下、など)
A これは業務提携契約書にも反する。
多くの販社とリース会社の業務提携契約書第3条@によれば、「本制度による対象商品は、甲(販社)が取り扱い、乙(リース会社)の承認する商品とする」とある。
上記の「リースは金融であって、対象が何であるか知らなくて良い」との主張もなされるこれはまさにこの業務提携契約書に反する。対象商品を特定することは当然である。この点もあるリース会社の担当者に聞くと、「ホームページ作成でひとくくりにして承認している」とのお答え。承認した書類もないとのことだ。
こんなことは許されるはずがない。
そもそも、物件価格について、本来の価格から不当に高額に価格設定をすれば、ユーザーに不利になるのみならずリース会社にとって無駄な支出となる。不当な価格設定をすれば、空リース的な部分も発生するし、物件の担保価値も不当に高額評価ともなりえる。リース会社は、通常販売価格を吟味し、本来販社に対して不当な価格設定を容認すべきではない。ところが悪質リースの場合、リース会社の収益も多く、被害申告も多くないので、あえてこのような契約を締結する。このようなことが許されるはずがない。
以上の点をきっちり調査して、主張立証し、裁判官を説得してほしい。